ライン広告はSNSとしては日本でトップクラスの登録者数であるLINE社が手掛ける運用タイプの広告プラットフォームです。
「ライン」をベースとして、ラインブログ、ラインマンガ、ラインニュース等の色々なサービス・アプリケーションが系列アプリケーションとしてリリースされています。
ライン広告を利用すれば、ラインとその系列アプリケーションを使っている人たちに向けて広告を打つことができます。
ライン広告は、平成30年の夏に自社開発のプロダクトとなりました。
それに伴い、広告配信システムが内製化され、ラインタグの提供、管理ページUI、アカウント構造の最適化などのリニューアルが実施されました。
ここでは、ライン(LINE))広告の特徴・配信方法、ターゲッティングなどについてお伝えします。
筆者自身、いくつもアカウントを持っていますので、その経験もお話しします。
※ライン広告の旧名は「LINEAdxプラットフォーム」でした
コンテンツ
ライン広告の内容
最初に
・ライン広告の配信について
・配信できる広告フォーマット
・ターゲティングについて
などの解説をしていきます。
広告配信面
ライン広告はこれらの面で配信されています。
・ラインニュース
・ラインマンガ
・ラインポイント
・ラインアプリケーションのタイムライン
・ラインブログ
・スマートチャンネル(ラインのトークリストの上の部分)
主に「ニュース面」「アプリケーションのタイムライン」「アプリケーションのトークリストの上の部分」、それから様々なファミリーアプリケーションにて広告を出すことができます。
ライン社の方針によっては、この先も広告配信される場所が多くなっていくかもしれません。
ラインのトークリストの一番上のところにも配信できる
ライン関連でトップクラスで閲覧されやすい場所の一つが「トークリスト」です。
トークリストの画面において広告が出ることは今までありませんでしたが、今では広告配信枠としても利用されるようになりました。この枠のことを「スマートチャンネル」と言い、ラインアプリケーションにおける行動履歴や利用者の属性に見合った有益な情報が配信されます。
ラインを使っていると自然と見ることになるエリアですから、よりたくさんの人たちにアプローチしたいときなどは特に役立つ配信面であると言えます。
広告フォーマット
ライン広告のフォーマットは現在主に3種類あります。
広告フォーマット | 内容 |
カード(card) | 静止画(1200×628) ムービー(16:9)の広告フォーマット |
スクエア(square) | 静止画(1080×1080) ムービー(1:1)の広告フォーマット |
バーティカル(vertical) | ムービー(9:16)の広告フォーマット ※タイムラインにおいては上下がカットされた「2:3」の広告が出るが、ムービーがクリックされると「9:16」のフル表示になる |
カードとスクエアですが、広告枠にマッチするクリエイティブを出すためにも、両方使うことをおすすめします。「どちらかにしなければならない」と考えるのはおすすめしません。
ムービーを使うとして、そのムービーが閲覧されることが一番大事なのであれば、バーティカルの追加も考えてみてください。
また、スマートチャンネルには上記とは異なる広告フォーマットがあります。
ラインオフィシャルアカウントに登録済の会社名、アクションボタン、管理ページに登録済の画像、文章で成り立っています。文章は20文字まで設定することが可能ですが、デバイスによって表示可能な範囲が違うので気を付けましょう。
ラインダイナミック広告について
ラインでもダイナミック広告を配信することができます。
ダイナミック広告はCriteoやグーグルの動的リマーケティング広告などですでに頻繁に利用されていますので、ピンとくる方もいるのではないでしょうか。
ラインのタイムライン以外で、カルーセル式でラインのダイナミック広告が出る事はありません。
人材系、不動産系、宿泊施設予約、旅関係、航空券、EC等、出稿できる業種も徐々に増えてきています。
配信面と配信できるフォーマットリスト
様々な配信面があり、各々にとってベストな広告フォーマットがあります。
しかし、少しややこしいので、表でリストアップしてみました。
広告素材を準備するときなどのヒントにしていただければと思います。
ラインショッピングにも広告配信ができる
ラインショッピングにも広告を出せるようになりました。
ラインショッピングには2019年の時点で2800万名以上のユーザーがいましたから(現在ではさらにユーザー数が多くなっているものと思われます)、きちんと戦略を練ればかなりの広告効果が得られるはずです。
ラインアプリケーションではないアプリケーションにも配信できる
ラインアプリケーションは当然として、「ライン広告ネットワーク」に分類される、ライン系列の様々なアプリケーションに、ライン広告を配信することができます。
例えば、ラインミュージックやラインマンガなどが対象となります(対象となるアプリケーション・サービスが他にもたくさんあります)。
ライン広告を配信する目的は5種類あります
ライン広告を配信する目的としては、大きく「ラインの友だち追加」「アプリケーション関係」「ウェブサイト関係」に分けることができます。
そして、アプリケーションについては、「アプリケーションのインストール」と「アプリケーションのエンゲージメント」に。ウェブサイトについては「ウェブサイトへのアクセス」と「ウェブサイトでのコンバージョン」に更に分けることができます。
配信の目的 | 内容 |
サイトへのアクセス | サイトへのアクセス数をアップさせます。コンバージョンの計測が難しかったり、アクセス数のアップ自体が目的だったりするケースなどで使います。 |
サイトコンバージョン | サイトでのコンバージョン(登録、注文等)をアップさせたいときに使います。 |
アプリケーションのインストール | アプリケーションのインストールをアップさせたいときに使います。 |
アプリケーションのエンゲージメント | アプリケーションの起動回数をアップさせたいときに使います(アプリケーションをインストール済の人に働きかける)。 |
ラインの友だち追加 | オフィシャルアカウントやLINE@アカウントの友だち数をアップさせたいときに使います。 |
ターゲッティングのタイプ
ライン広告は「ラインファミリーにおいて利用者が買ったスタンプの履歴、登録情報、ラインオフィシャルアカウントやライン@の友だち登録履歴」等をベースにカテゴライズされたデモグラフィックターゲッティングと、
「アプリケーションやサイト内の行動記録やデバイス識別IDをダイレクトにアップロードしたものや、それらに近い情報」をベースとするオーディエンスターゲティングで配信することが可能です。
カテゴリ | ターゲッティング | 内容 |
デモグラフィックターゲッティング | エリア | 都道府県別に設定できる |
性別 | すべて/男性/女性 | |
OS | すべて/アンドロイド/アイフォン | |
関心/趣味 | デジタルデバイス・家電/ゲーム/ビジネス・職業/家・インテリア・園芸/ファッション/テレビ・映画/教育・学習・資格/音楽/健康/金融/書籍・マンガ/自動車/食べ物・飲み物/美容・コスメ/エンタメ/旅行/ショッピング/自動車(軽自動車/ハッチバック/コンパクトカー/セダン・ステーションワゴン/スポーツカー/ミニバン/SUV(ラージ)/SUV(コンパクト)) | |
詳細設定 | 配偶者(すべて・あり・なし)/子ども(すべて・あり・なし)/携帯キャリア(ソフトバンク・au・NTTdocomo)/テレビを観る頻度(低・中・高) | |
オーディエンスターゲティング | ウェブトラフィックオーディエンス | サイトの行動記録(アクセス・購入など)をベースに作成できる |
モバイルアプリオーディエンス | アプリケーション内のイベント(初回起動・課金など)をベースに作成できる | |
IDFA/AAIDアップロード | アップロードして自社のIDFA/AAIDを作ることができる | |
LINEオフィシャルアカウントの友だちオーディエンス | LINEオフィシャルアカウントの友だちをもとに「ブロック中の友だち」「有効友だち」で作成できる | |
類似オーディエンス | オーディエンスターゲティングをベースに1~15パーセントで作ることができる |
ライン広告が勢力を高めている理由は?
「ライン社の全収益のうち、5割以上を広告からの収入が占めている」と言われています。
その広告からの収入は徐々にアップしてきています。
これほどまでに、ライン広告が勢力を高めている理由はどこにあるのでしょうか。
「(ほぼ)ラインでしか働きかける事ができないユーザー層」がある
ライン広告には「新規獲得率が優れている」という特徴があり、それはデータでもハッキリしています。ラインのユーザー層は幅広く、男女問わず、年代問わず利用されています。
また、ツイッターとフェイスブックを合わせた利用者のうち、およそ4割はライン以外のSNSでは働きかける事が叶わないユーザーであるという統計も存在します。
つまり、「ライン広告を出すことで、これまでアプローチできなかった人々にも広告を見せることができる」という事です。
アクティブ率が優れている&ユーザーカバー率が高い
日本のインスタグラムの月間アクティブユーザー数は3300万名、フェイスブックは2600万名、ツイッターは4500万名とされています。
しかし、ラインのアクティブユーザー数はそれらを遥かに上回る8100万名となっています(これは国内人口のおよそ64パーセントです)。
また、ラインのアクティブユーザーのうち、およそ86パーセントが最低でも1日1度はLラインを使っています。ツイッターで70パーセント、フェイスブックで56パーセント程度ですから、いかにラインが「多くのユーザーに&頻繁に」使われているかが分かるはずです。
ツイッターやフェイスブックと比べると、「他人と連絡を取り合うためのツールである」という側面が強いからこそのこの数値なのでしょう。
ラインに関しては、「アカウントを持っているもののずっと放置している」という状況になりにくいものと思われます。
アップデートや機能の追加が盛ん
「ライン広告媒体資料」が3カ月に1回公開されていますが、そのなかだけでもたくさんの新機能や新しい取り組みが発表され続けています。
今後も、広告配信プラットフォームとして進化し続けていくことでしょう。
ライン広告には審査があります
ただし、ライン広告には審査があります。どのようなサービスや商材でも広告を出せるというわけではない事を覚えておきましょう。
そして、サプリメントや化粧品等の特定の分野に関しては、その他の業種とは違う審査基準があり、審査をパスする難易度は決して低くはありません。
以下、NG業種・商材を挙げておきますので、確認しておきましょう。
これらに該当するのであれば、残念ながら絶対に審査をパスする事はありません。
色々なサービスがあり、たくさんのデータを広告展開に活かしている
私はライン広告が誕生してから今まで、継続的にライン広告を利用してきました。
ここまで使ってきた上での個人的な感想としては、
「フェイスブック広告やリスティング広告と違って色々なターゲティングが行えるわけではなく、コントロール可能な範囲が狭い」ものの、「広告配信機能がどんどん進化しており、他にはない斬新さもある」という感じです。
そのため、私は今後もライン広告を使い続けます。
現時点でもかなり満足してはいますが、これからさらに優れたものになっていくと予想しています。
ちなみに2019年、「ラインペイと広告に力を入れます」とライン社が述べています。
そして2019年の11月にセルフサーブ機能が追加され、出稿する会社がさらに増加しました。
また、ラインペイはグローバル決済高(2018年)のYoYが200パーセントを超える速度で成長しており、その支払いデータ等の意義深いデータが、広告配信の精度アップに活用されるようになる事が望まれています。
この先も開発が進み、ライン広告で行えることがどんどん多くなっていく事が予想できます(使い心地もよくなっていくはずです)。
また、データフィード連動もスタートしており、さらに広告配信機能が濃密なものになっていく事でしょう。
トータルで考えてライン広告に関しては「現時点でも非常に優秀であるにもかかわらず、さらに成長していくポテンシャルがある」と言えます。